「秩父源流水」と「横瀬紅茶」Vol.15
思いがけない積雪や、初夏を思わせるほどの気温の変化と
吹き飛ばされそうな強風に見舞われる・・
そんな慌ただしい陽気の2月を見送って
近所の桜の樹を見上げたら枝いっぱいに広がる蕾も僅かながらに膨らんで
季節も春へと少しずつ向かおうとしている景色に
時の過ぎゆく早さをあらためて感じる今日この頃です。
1月は下旬の頃にご縁があって秩父は横瀬(よこぜ)町を訪ね
地元の紅茶「横瀬紅茶」を美味しくいれる
紅茶のイベントを開催しました。
秩父の紅茶に触れる機会は昨年末から偶然に始まっていたのですが
今回の横瀬紅茶との出会いは、このシリーズ1回目でご紹介した「秩父源流水」とペアリングすることで、私にとってまた新しい発見がありました。
ではその発見についてご紹介したいと思います。
茶葉「横瀬紅茶」の特徴
茶樹の品種は「さやまかおり」。
よられた状態の茶葉と細かな茶葉がミックスされているので
香りが立ってしっかりとコクが出ます。
「さやまかおり」は埼玉県で誕生しやぶきたよりも香り高く寒さに強いので
秩父の横瀬町の陽気によく馴染んで育っているのですね。
そしてなんと言ってもこの甘み!
茶葉がこんなにも甘いと感じた紅茶は初めてで
飲み心地も穏やかで優しい味わいです。
「横瀬紅茶」を美味しくいれるコツ
よく紅茶は「沸かしたての熱湯でいれる」と言われています。
美味しくいれるポイントのひとつなのですが
横瀬紅茶の持ち味である甘みを充分引き出すには
沸かしたての熱湯ではなく沸騰したら少し(1〜2分)置いて
やや温度を下げた状態でいれるのがコツのようです。
また美味しくいれるもうひとつのポイントに
「使う道具を温める」というのがありますが
ガラスのポットは温めずに使います。
熱湯の温度を下げる
この2つの方法をぜひ試していただくと
ハッとするほど美味しい紅茶がいれられます。
ペアリングのまとめ
昨年末に偶然訪ねた秩父で秩父紅茶を頂きました。
その時の秩父紅茶が程よい渋みとしっかりとしたコクのある紅茶だったので
今回の横瀬紅茶もどんな味わいのある紅茶なのかが
いれてみるまでとても楽しみでした。
せっかく秩父の紅茶だから秩父同士のペアリングで
秩父原流水でいれてみることにしたわけですが
いれてみると横瀬紅茶のさやまかおりが持つ「甘さ」が実に特徴的でした。
2月の寒い日にいれたので沸かしたての湯が冷めたせいなのか
その甘さがとても気になったので
あえて湯を少し冷ましてポットも温めずに入れてみたわけです。
それがこの横瀬紅茶のさやまかおりには美味しくいれるポイントだったようで
まろやかな甘さが口の中に広がって
秩父源流水の成分も加味された湧水のやさしさが
うまい具合にさやまかおりの甘さを引き出してくれたような気がしました。
このさやまかおりの甘さがチョコレートの甘さをも引き立てているような
そんなやさしい味わいの紅茶だとも思いました。
そして食事にもよく合う秩父の紅茶だとも思います。
ミラクル&メモリアルショット
こちらは昨年紅葉が終わる頃に
初めて家族で訪れた秩父の旅のひとコマです。
宿の部屋で耳を澄ますと
せせらぎが聴こえて来ました。
翌朝外に出るとキラキラと陽の光に照らされた清流が・・
その小川の側で紅茶をいれたくなりました。
旅に持って来た紅茶はディンブラ。
ご当地の水、秩父源流水でいれたディンブラを記念に
携帯で撮ろうとしたまさにその瞬間
光の虹と滝にも似た羽のような光の帯が現れました!
ちょうどこの連載をスタートした時のペアリングが
この組み合わせだったのですね。
ご当地の水でいれたディンブラは
香りの爽やかさが際立っていました。
また心地よい渋みがまろやかな味わいになって
茶葉の特徴がうまく引き出されるんですね。
ご当地の水にしっくり馴染む紅茶を探す旅は
湧水から始まって深井戸水に辿りつき再び湧水へ。
水に含まれる成分や硬度によって
紅茶の持つ味わいに変化が生まれます。
いつも面白い発見が多々あります。
これからもご当地の水を選びながら
合わせてみたい茶葉を選んでレポートして行きますので
どうぞお楽しみに!
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熱湯の温度が下がると美味しくいれられる紅茶のご紹介です!
(株)サザビーリーグにて、ティーワークショップの企画、開催に従事。2021年5月に独立。紅茶のプラットフォーム「アニラティー」を設立。
水と紅茶のペアリングからオリジナルブレンドティーの開発まで、新しい紅茶リラクゼーションを展開中!
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